【祝・発売35周年】「ロックマンシリーズ」名作横スクロールゲーム


500万本に及ぶ。 ロックマンXシリーズ ロックマンX ロックマンX2 ロックマンX3 ロックマンX4 ロックマンX5 ロックマンX6 ロックマンX7 ロックマンX8 ロックマンX サイバーミッション ロックマンX2 ソウルイレイザー ロックマンX コマンドミッション イレギュラーハンターX ロックマンX アニバーサリー…
68キロバイト (8,748 語) - 2022年12月14日 (水) 22:17



「ロックマン」は日本を代表するゲームキャラクターのひとりだといえるだろう。『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにも出演しているし、ゲーム好きならまず知っているであろう有名キャラクターだ。

 そんなロックマンのゲームが発売されたのは、今から35年前の1987年12月17日。オリジナル作品ということで企画の立ち上げは難航したそうだが、前述のようにいまでは多くのファンがいる立派なシリーズとなっている。これまで発売されたシリーズ作品数は158本にも達しており、シリーズ累計売上は3800万本を記録している(*1)。

*1 カプコン公式サイト シリーズソフト販売本数参照

 そんな有名キャラクター、ロックマンは何が優れているがゆえにいまも生き残っているのだろうか。35周年のいま、改めて振り返ってみよう。

『ロックマン』の革新的特徴

 初代『ロックマン』が発売された1987年は、現在とかなり状況が異なる。ファミリーコンピュータで『スーパーマリオブラザーズ2』や『悪魔城ドラキュラ』が発売されたのが前年の1986年であり、アクションゲームというジャンルもいまほどは進化してなかったわけだ。

 もともとアクションゲームというジャンルは、アーケードゲーム(ゲームセンターなどに設置される業務用ゲーム機)の流れを汲んでおり、必然的にそれに似る傾向があった。

 アーケードゲームは客にコインをたくさん入れてもらうと儲けに繋がるわけで、必然的にそれを促進するための作りが用意されている。例をひとつ挙げると、残機(プレイヤーキャラクターの残り数)という要素が該当する。やられて残機がなくなるとゲームオーバーになり、そこからまたコインを入れればコンティニューでき、残機が増えるわけだ。

 しかし、一度買ってしまえば何度も遊べる家庭用ゲーム機において、この仕様は本来必要ない(ゆえに昨今のアクションゲームにおいて、残機というシステムは存在しないか、あっても事実上無意味になっているケースが多い)。それでも、残機を含め、さまざまなアーケードゲームの仕様を引き継いでいることが多かったのである。

画期的だったゲームシステム

 そのような状況で『ロックマン』は家庭用ゲーム機らしい作品の作り方をしている。ひとつめのポイントはやはりステージセレクトだ。

 複数のボスのアイコンが一気に登場し、そこから自分でステージを選ぶというのは『ロックマン』シリーズでおなじみの光景である。しかしアーケードのアクションゲームは、プレイヤーがステージを選ぶ形式にはなっていない(流れが決まりきっている)ことが多い。

 自分でステージを選べるというのは、いまでこそ当たり前だが、かなり重要な要素である。同じステージで何度もやられるとプレイヤーはすぐに飽きてしまうわけだが、選択できればほかのステージを先に遊ぶこともできるし、簡単なところから選ぶなんて攻略方法も生まれるわけだ。

 また、ボスを倒すとロックマンがその能力を手に入れられるという要素も重要である。手に入れた能力はほかのボスの弱点になっているため、うまく活用すれば手強いボスもあっという間に倒すことができるわけだ。

 このように、『ロックマン』はアーケードゲームにおける“遊びにくさ”を緩和したことが人気になったポイントだと考えられる。

 もっとも、それでもアーケードゲームの影響下にあるのは事実で、家庭用ゲーム機では無意味な、スコア機能が存在したり、そもそも難易度自体が高く、残機システムは存在する。それは言ってしまえば、当時のアクションゲームの歯ごたえを維持しつつ、難易度の緩和ができた結果だといえよう。

 初代『ロックマン』はいま遊んでみるとかなり難しい。ガッツマンステージでは最初の足場でよくわからないまま落下死するし、イエローデビルというボスもとんでもない動きを見せる。現代の優しいゲームに慣れた初見プレイヤーは腰を抜かすかもしれない。おまけに初代はパスワードも存在しておらず、電源を入れたら一気にクリアする必要があった。

 それでも『ロックマン』のシステムは当時からすればユニークで、価値があったのだろう。子供たちの心を掴んだのは間違いなく、その証拠に、以降シリーズとしての展開がはじまっていく。

夢のような企画を展開

『ロックマン』シリーズといえば、ボスキャラの公募が印象深いという人も多いだろう。1988年に発売された『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』から、日本全国の一般ユーザーからボスのデザインを募集し、審査を通過したものは実際にゲーム内に登場するという企画を実施していた。

 このボスキャラ公募企画は、1996年にPlayStationで発売された『ロックマン8 メタルヒーローズ』まで続いている。関連するエピソードで有名なものは、『アイシールド21』や『ワンパンマン』で知られる漫画家の村田雄介氏が送った「ダストマン」が実際にゲームに採用されたという話だろう。

 プレイヤー参加型の企画、それも製品に自分の考えたキャラクターが登場するというのはかなり斬新であった。ファミリーコンピュータの時代は一般家庭にインターネットなど存在せず、自分のアイデアを世間に披露する機会すら稀であった。夢のような企画であったのは間違いないだろう。

『ロックマン』シリーズはその後も探索要素を組み込んだりして長く続き、『ロックマンX』シリーズ、『ロックマンDASH』シリーズ、『ロックマンエグゼ』シリーズなどさまざまな展開を繰り広げていく。

『ロックマン』の直系となるシリーズ最新作は、2018年10月に発売された『ロックマン11 運命の歯車!!』である。本作は全世界で160万本の売上を記録しており、フランチャイズのなかで最も売れたタイトルとなった。

 しかし、160万本という数字は日本を代表するゲームとしては厳しいのも事実。これ以降は新作の情報も特に出ておらず、残念ながら現在はあまり勢いのあるゲームとは言えなくなっている。とはいえ、それでも『ロックマン』の血は現在のゲーム業界にきちんと流れているのだ。

 レトロなシリーズ作品を集めた『ロックマン クラシックス コレクション 1+2』や『ロックマンX アニバーサリー コレクション 1+2』はどちらも100万本を突破しているし、スマートフォン向けの基本プレイ無料タイトル『ロックマンX DiVE』もサービス提供が続いている。2023年には『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』も発売予定だ。

『ロックマン』をオマージュしてつくられた数々の傑作

 さらに注目したいのが、『ロックマン』から影響を受けた傑作がたくさん登場している部分である。いまは『ロックマン』を遊んで育った人たちが作り手側に回っており、そのリスペクトを作品上で表現しているのだ。

 1930年代のカートゥーンアニメを再現した高評価アクションゲーム『Cuphead』では、『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』に登場したドラゴンのボスにそっくりなキャラクターが登場する。足場が少ないステージの構造もそっくりで、これは明らかなオマージュだ。

 己を見つめ直すために山登りをする高評価アクションゲーム『Celeste』においても、『ロックマン』へのオマージュが存在する。本作の主人公はトゲに触れるとやられてしまい、ロックマンそっくりに爆発して消えるのだ。

『Cuphead』も『Celeste』も高難易度のアクションゲームであり、『ロックマン』から影響を受け、傑作と評価されるタイトルである。『ロックマン』シリーズそのものの勢いは弱くなったかもしれないが、その志を引き継いだゲームがいまも第一線で活躍を続けているのだ。

 やはり『ロックマン』は偉大なゲームである。一時期は間違いなく大きなフランチャイズになったし、業界に大きな影響を与えたのも間違いない。願わくば、再び新作で大きな盛り上がりを見せてほしいところだ。

(渡邉 卓也)

『ロックマン』キーアート 画像はカプコン公式Twitterアカウントより


(出典 news.nicovideo.jp)